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「教材興味あります!」とモロに反応してしまった文章を分析。「価値観の共有」の凄さ

前回の記事で、自分が心を動かされて、つい感想メールを書き手の方に送ってしまった文章を分析してみた。

自分が反応してしまった文章を分析すると、めっちゃいい勉強になるぞ。という風に感じたので、今日もやってみたいと思う。

 

今回のブログ記事はこちら

 

文章の最後に「教材気になる人はDMください!」とあるのだが、今回も、僕は心を動かされて、つい言われたとおりに「教材気になります!」とDMを送ってしまったのだった。

断っておくが、自分で言うのもなんだが、僕はそんなに素直な人間ではない。

むしろ「教材気になる人はDMください!」と言われたら、本当は気になっていても、意地でもDMしないような人間である。

それなのに、今回は「教材気になります!」と素直に言ってしまったのだった。

一体どういう力が働いて、素直じゃない僕が言うことを聞いてしまったのか。

それを知りたくて、改めて文章を何回も読み直し、分析してみた。

 

まず結論。

結論から言うと、今回僕が「教材興味あります!」とメッセージを送ってしまったのは、「価値観が共有されたから」である。

つまり言うと、

  • 書き手の方は「情報発信はやりがいもあり金も稼げる素晴らしい仕事だ」という価値観を持っている。
  • 一方、この文章を読む前の僕は、「情報発信で稼ぐなんて無理だろう」という価値観だった。
  • しかし僕が文章を読み終わったら、僕の価値観は「情報発信はやりがいもあり金も稼げる素晴らしい仕事だ」に変わっていた。

ということだ。

読む前は書き手の方と僕の価値観が別々だったのが、読んだ後は一緒の価値観になったのである。

僕の価値観は書き換えられた。

次から、一体どうやって、価値観が切り替えられたのか、さらに分析していこうと思う。

 

興味づけがえぐい

まず冒頭、実績が語られる。

  • 学習塾や銀座でバー経営
  • 不動産投資
  • Web事業
  • 化粧品、しゃぶしゃぶ、エアコン

どんだけあるんですか、一体何者?となるのに加えて、

  • 情報発信が最も利益が出て20億ほど

とぶっ飛んだ実績で興味づけがこれでもかと書かれてる。

極めつけに自身がデザインしたというTシャツを、スタイルめっちゃいい美人の女の子が笑顔で着てる写真が出てたりして、いやちょっとマジでうらやましいんですが?みたいな感じで興味づけがとにかく半端じゃない。

ただし、ここは実績によるところで、同じ形で真似するのは難しい部分ではある。

価値観が共有される本質的なポイントは次の項目だと思う。

 

物語

そう「物語」である。

こちらのブログでは、以下のような物語が語られている。

 

情報発信はなんかしょぼいイメージを持っていた

だからリアル店舗の飲食店やエアコンクリーニングをやってみた

意外と利益が少ない上に、客の喜びとかは見えにくかった

その後、情報産業である学習塾をやったら、結びつきが強いし感謝されまくった

そこで気づいた、自分は相手の喜びや人生に大きく影響するようなことをやりたいのだと

 

と、いうものだ。

ここでのポイントは、「葛藤」がめっちゃ描かれていること。

「飲食あんまり儲からんし感謝されてるかわからない。軽んじてた情報発信の方が儲かる上に感謝されているのはなんなんだ」という心の葛藤。

「エアコンクリーニングも金は増えるけどお客の喜びにあんまり触れなくてなんか寂しいな」という葛藤。

葛藤を見せることで、共感を生んでいる。

 

さらに、物語になっていることで、ライティング的には2つ意味がある。

1つは、物語は単純に読みやすいということ。具体的でわかりやすいのである。読むハードルが低いから、Not Readの壁を越えやすくなる。

2つ目は、物語の中で起こる心の葛藤を見せることで、共感が生まれること。「そういう経験をしたなら、確かにそう感じるよね。」という納得感がある。なんでそういうことを言ってるかの背景を納得させ、信頼させることで、Not Bilieveの壁も越えている。

物語の中で起きた心の葛藤を見せられることで読者は共感し、その結果、

「情報発信は実店舗よりもむしろ相手の人生に深く関わることのできる、価値の高いものだ」

という価値観を、読者が共有するようになるのだ。

 

価値観を共有した上での「断定」

物語を使って価値観が共有されたが、まだ読者の心に残るのは、

「でも情報発信は詐欺師や怪しいイメージがあるんだよな…。」

ということ。

ここで扇動の力を使いつつ選択肢を絞る。「そうは言っても怪しいよな」と言って離脱する選択肢を削除する。

どうやるかというと、しょぼいやつが多すぎるということは肯定しつつ、勉強不足やノウハウ依存では生き残れない、と「ほとんどの情報商材屋」を否定。

「世の中のノウハウ依存の情報商材屋」を仮想敵にして対比して徹底的に潰す。

そして彼らと比較して自分たちが生き残っているのは、「文章が書けるから、台本が書けるから」であると断定する。

物語の力ですでにNot Bilieveの壁を越えている読者に対して、「断定」が有効に働く。実際僕も、ここでうおおっという気分になった。価値観を共有した上での「断定」。扇動の力を使っている。

ここが大事なところだと書き手も当然わかっているから、「大事な事なので、もう一度言います。書けるから売れるのです。金持ちにいつでもなれるのです。」と、繰り返し、太字で強調している。

 

いいものだから売れる訳ではないという「常識破壊」

書ける人は売れる。という強い印象を残したところで、話はもう一度物語に戻る。過去の経験談の続きとして、化粧品会社の経験である。

ここでも、化粧品は成分がほぼ一緒だから差別化ができず絶望した。という「葛藤」が描かれている。

それも重要なのだが、もう一つ重要な点がある。

 

それは、「常識破壊」である。

 

化粧品は商品そのものよりも、パッケージなどの見せ方、つまり情報発信の仕方が差別化要因であると語られている。

これは、アパレルも同じ性格であり、見せ方にかなり依存する。

つまり、どんなに可愛い服でも見せ方が下手なら売れないし、逆にそうでもない服でも見せ方が上手なら売れてしまうと。

この主張には、一般的な常識とは大きな隔たりがある。

つまり、世の中のほとんどの人は、「いいものを作るから売れる」と思っている。

しかし、上記の主張は、それとは全く違う立場であり、「売れるかどうかは、いいものかどうかよりも、見せ方による」というもの。

これはいわゆるアンチテーゼである。同時に、常識破壊である。

 

常識はずれの主張を見て読者は衝撃を受けるものの、「えっ…でも…」とまだ信じきれない気持ちになる。

ここで読者を納得させるために極端な例として出てくるのが、エルメスのバーキンである。

3,900万のバーキン。

こんなものがあんなに高いなんて馬鹿らしい、の最たる例。でも実際にその値段で売れている。

こんなもん馬鹿しか買わねえ、と思うのは当然だと肯定しつつ、そう資本主義の経済活動とはほぼ全て馬鹿なんですよというどんでん返しのような流れ。あっ資本主義の方が馬鹿なんですね…という、まさに常識破壊。

 

ニーズとウォンツ

なぜそんなことになるのか?と言えば、ちょっとだけブログの内容とは離れるが、現代はニーズではなくウォンツの時代だから、である。

先進国では最低限のニーズはすでに満たされてて、大衆のニーズを満たす時代は終わっている。

では現代は何かと言えば、個々のウォンツ(欲望)を満たす時代である。

だから、ブログで語られるように、ある人から見れば、他のある人の消費活動はまるで馬鹿に見える。しかし、ニーズの満たされている先進国の経済活動なんて、そもそもそういう馬鹿なものであると。

必要性を満たすという目的から見たら、ほとんどが馬鹿馬鹿しい買い物。必要性があるかどうかで言えば、みんな無駄なものを買っている。

では、ニーズを満たすことの価値が薄くなった今、何に価値があるのか?と言えば、要はおもろいかおもろくないか、である。

この常識破壊を通じて、「見せ方つまり情報発信が重要である」という主張を納得させる。

 

目からウロコの「価値観の共有」

ここのバーキンのくだりを読んで、ハッとしたことがあった。

 

それは、人の行動は「価値観」が決めている、ということだ。

 

どういうことかというと、

バーキンを3,900万で買う人と、それを馬鹿だと思う人との違いは何かと考えたときに、

バーキンを買う人は、そういう「価値観」を持っているということ。

つまり、両者の違いは、価値観の違いであり、一方はバーキン>3,900万という価値観であり、もう一人はバーキン<3,900万ということだ。

 

一人にとっては価値があり、もう一人にとっては価値がない。

ということは、ものの価値は、人の価値観に依存しているのである。

 

言い換えれば、モノ自体に価値なんて別になくて、ものの価値は価値観によって全て決められている、ということだ。

だったら、ものの価値を高めたかったら、人のそれに対する価値観を変える必要があるのではないか?

もの自体を良くすることも大事だけども、それ以上に、それへの価値観を変えることの方が重要なのではないか?

それが、見せ方がうまいということだ。

 

ここが僕的には目からウロコだった。

何かセールスすることばっか考えてて、相手がどういう価値観に従って生きてるのかとか考えもしなかった。盲点だった。

「つかそこ大事じゃん。相手はそれに従って行動なり判断なりしてるんだから、そこがズレてたらそりゃ駄目じゃん。そんな根本的なことに気がついていなかった。アホだ自分。」

そう思った。

同時に、判断基準そのものを変えてしまうという考え方がとても面白いと思った。なんかズルみたいというか、オーバールールみたいな、根底から違う発想で、自分の価値観も変わってしまうハッとした体験だった。

 

最後に背中を見せてNot Actの壁を越える

ここまでで情報発信が大事であるという価値観を共有し、納得させ、終盤では自分がプロへの課金など行動している背中を見せ、行動を後押ししている。

キャバクラの物語など面白さで読ませつつ、読者の気分を高め、最後の最後で「文章の教材気になる人はDMください!」と一言だけ添える。

僕はこれに見事に反応してしまったわけだった。

 

僕が「教材興味あります!」とメッセージを送ってしまった理由まとめ

分析は以上である。

僕はまんまと書き手の方の思惑どおりに行動してしまったのだ。

僕が行動してしまった原因は、以下のような手段を用いて「価値観が共有された」からである。

  • 物語で描かれた葛藤への共感
  • 仮想敵との対比、すなわち「本質的な文章力↑、今だけ使えるノウハウ↓」という選択肢の削減
  • 明快な論理や、断定を用いた扇動の技術
  • 常識破壊
  • 再度物語で背中を見せ、行動させる

これらを全て食らって徹底的に「価値観が共有」された僕は、文章力が必要だという新たな価値観のもと、「教材気になります!」のメッセージを送ってしまったわけである。

こうやって見てみるとただ文章が書かれている訳もなく、行動させるためにさまざまな技が利用されていることが理解できる。

 

まとめ

今回も自身が反応してしまったブログ記事を分析してみた。

素直じゃない自分がメッセージを送ってしまったことは紛れもない事実であり、そこには理由がある。

分析することで非常に勉強にもなったし、エルメスのバーキンのあたりは価値観について目からウロコが落ちるような思いもして、めちゃくちゃ面白かった。

どんどん盗み、人を動かす文章を作っていきたいと思う。

 

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