「3個のお菓子を9人にあげるのに、お菓子は何個必要になりますか?」
答えは27個ですね。
小学2年生でもわかる問題です。
これを「3+3+3+3+3+3+3+3+3=27だ!」と言ってたら、
いやかけ算使えよ。
ってなります。
3+3+3+3+3+3+3+3+3ならばまだ3個のお菓子がいっぱいある様子がイメージされますが、
3×9は、より概念化されています。
実体上は、9とかいう数字はありません。
「3と3と3と3と3と3と3と3と3」です。
まとまりを1と捉える、という概念化をしています。
「それ1じゃないじゃん。3じゃん」です。
そう、本当は3なんですが、「3個のまとまりが1個だから1」っていう実体を無視した概念化をします。
もうむちゃくちゃです。
どんなお菓子かとかは全部無視して、数を数えるために「3が9個あるってことに便宜上している」わけです。
めっちゃ抽象的です。
もはや個別具体的なイメージの余地はなく、数を数えるということにもろに特化してます。
これが500人だったら3×500です。もう機械的です。
500っていうのはお菓子が500個なのではなく、まとまりが500個という抽象化をしています。
「まとまり」という概念化されたものを1個のものとして捉えています。
机上の理論であり、実体がないため抽象的です。
僕たちは普段意識しないうちに、ものすごく抽象的に物事を考えています。
一個一個の「3」の存在を無視して、3が9個あるということにして数値を割り出します。
足し算からかけ算になるときは、概念化のレベルが一段上がっています。
つまり抽象度が一段上がっているわけです。
抽象化するというと、ぼんやりさせるみたいなイメージがありますが、
それは一側面でしかありません。
周りをぼんやりさせて、一部分を際立たせるのが抽象化です。
かけ算とは、足し算から抽象度を一段階上げたものである、ということを理解したいのです。
ただ足し算を短くしたものではありません。
抽象化のレベルを一段引き上げるということをしています。
具体から一段階かけ離れる、とも言えます。
逆に言えば、3×9を具体化すると3+3+3+3+3+3+3+3+3の足し算になります。
こっちの方がイメージしやすいかもしれません。
3+3+3+3+3+3+3+3+3の方が具体的な感じはしますよね。
かけ算が苦手な子供は、抽象化が苦手とも言えます。
57×25、とかなってくると、もはや実体を見ていくのは難しく、抽象概念でしかなくなってきます。
しかし抽象化は、実体のある、目に見える範囲を大きく超えたところまで行くことができます。
それこそ抽象世界では無限にいけます。
かけ算のように、どうやって抽象化させるか、という型がわかってしまえば、ずっと便利に使うことができます。
そう、うまく抽象化したものは、誰でも便利に使える。
抽象化とは「構造を理解する」ということであり、他に応用が効くからです。
この抽象化という視点を忘れないようにしましょう。